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鳥人計画 東野圭吾 新潮文庫

読み終わると、楡井が好きになっていた。

犯人を推理するミステリーではなく、動機と方法を推理するミステリーだ。特に動機には力がはいっている。また第三者の存在という謎も用意されている。

スキージャンプという舞台へのアプローチが、よくも悪くも、東野圭吾らしい。技術の神秘と、ライバルたちの確執という二点が。綿密な下調べによる情報の展開は、さすがといった感じだ。「天空の蜂」が好きなひとは、楽しめるのではないか。逆もまた然りだ。

雰囲気は暗い。それから東野作品が好きなひとは、第三者の正体が、推理ではなく直感から悟られるかもしれない(笑) ひとりの人間が書くのだから仕方ないが、ちょっともったいない。

前半からラストまで、巧みに興味をひきつける、おもしろいミステリーだった。

選手に楽しみと向上心がある限り、鳥人計画はとうぜんのことだ、とわたしは思う。登場人物の意見はわかれていたが、作者も肯定しているのではないかと感じた。また、ノイズの発想がおもしろいなと思った。


by p___q | 2008-02-14 23:43 |